ムサシノモデル製のクラウス10型機関車の私的批評とチューンアップ
加工前の写真(加工後は準備中) 加工後(ナンバー未貼付)
バルブギアーをフルワーキングなのは、スローで走らせるとバルブロッドがゆっくり動いて見ていて非常に楽しい。しかしその反面やや線が太くなっている印象は否めなく、本来なら水平になっている筈のラジアスロッドなどが水平になっていないのは残念である。これも良好な走行性を得るためのクリアランスを確保するための苦肉の選択の結果とは思えるが、次の製品では検討してほしい課題である。またバルブギアーの止めネジがマイナス頭丸見えなのも気になるので、ボルトナット頭の1.4mm六角ネジに交換した。
また組立法では、サイドタンクの下で床板とサイドタンクを留めるネジが頭の小さいビスを使っているとはいえ、横から丸見えなのは玉にキズである。頭の小さい一種のカメラネジに交換した。また分解してみた印象では床板とサイドタンクの部分で上下を分けると隙間が出来やすいので、やはりサイドタンク下の床板部分はダミーとして上回りに付けるべきだと考える。
それから集電だが、車輪を両絶にして裏から細いブラシをあててある構造には感心した。また集電ブラシの繊細さにも驚いたが、コアレス搭載で超低消費電力だからあれでも大丈夫なのだろう。その反面このブラシの扱いには細心の注意が必要である。私はギアボックスを分解するとき、引っかけて曲げてしまい修正に苦労した。また動力装置などの部品の一部に機械仕上げの粗雑な部分が見られ、購入した模型店の店主の話では、一部の不調な製品の原因になっているという。今後の改善を期待したい。ギアボックスは一旦分解して清掃し、ウオームギアの両端にはナイロンのスラストワッシャーをいれ、セラミックグリスを再充填した。
私の購入したものでは説明書に従ってケディーカプラーを後部に付けようとするとブレーキシリンダーが干渉してうまくとりつけらないのは問題だ。プライヤーでこじって一旦はずして、干渉しない位置に接着剤でとりつけた。またできればサウンドシステムのコンタクト取り付けに対する考慮が欲しい。車軸が2mm径であることやスペースの点で台枠間のロストパーツをかなり削る必要があることなどで、今回はコンタクト取り付けは断念した。
また一般的な形態の動輪押さえ板はなく、第一動輪は帯板、第二動輪は担いバネのついた小さな部品で台枠に留めるようになっている。ところがブレーキシューとロッドが台枠からはずせない構造となっているので、動輪を台枠からはずすことが出来ない。仕方がないのでブレーキロッドをプライヤーでこじって取り外した。はずしてみると真鍮線製のロッドは、ブレーキてこに接着剤(おそらくエポキシ系か?)で付けて、後で塗装してあるようだ。また先に書いた動輪押さえのパーツの留めネジが、第一動輪と第二動輪では違っている。このあたりから見てもこの製品は、ユーザーによる分解を全く考慮していない構造に設計されているようだ。
また塗装は美しいが、シリンダーブロックはともかく下回りが艶あり塗装なのは落ちつかない感じがする。下回りにシコタマ付けたロストパーツのディティールをはっきり出して商品価値を上げたいのかもしれないが・・・ 私はいろいろな加工で塗膜も一部傷ついてしまったので、もう一度艶消しを上から吹いてウェザリングする予定である。
製品のコンセプトについてはすばらしいと思うし、説明書に書かれていた「日本ではまだまだ小型機の本格モデルの完成品を発売するのは時期尚早」いうのは杞憂だと思う。もうその機は熟していると考える。私自身、韓国製の塗装済み完成品を購入したのははじめてだったが、既に多くの方が韓国製品一般について書いているように、使用している真鍮板の品質、一部の機械加工の部品の品質(ギア、段付きネジなど)を除いては概ね満足がいった。ただ保守・加工のための分解がまったく考慮されていない設計はなんとかして欲しいと思う。