Tips & Bugs(雑記帳)
レイアウトの呪縛 (98/12/10、00/10/14加筆修正)
みなさんは、模型車両を作りながらも「鉄道模型の究極の楽しみはレイアウト」というメッセージが、頭のどこかにへばりついていませんか?
最近思うには・・
戦後の日本鉄道模型界というのは、山崎喜陽編集長(委員長?)指導するTMS党の編集部独裁による思想指導体制の下で発展してきたようなので、自分のような人間としての成長期にTMS思想の洗礼を受けたものはやはり、「鉄道模型の究極はレイアウト」と考えてしまいがちです。
ただよく考えてみると車両もレイアウトもそれなりのレベルに到達できるスーパーモデラーは、ひと握りしかいないし、誰もが人生で模型を楽しむためにそれだけの時間を割ける境遇ではないと思います。だから能力的にも時間的にも金銭的にも個人の出来る範囲で好きなことをやればいいのではないかと思うようになり、模型に関しては一種の解脱の境地(少しアブナイ?)に入りました。
TMSも山崎編集長が一線をひかれてから、昔ほど誌面に強烈なイデオロギーを感じなくなり、いろいろな考え方の模型が誌面に載るようになり、私としては良くなったと思っています。今はむしろ某誌の方がその社主の執筆しているコラムでレイアウト至上主義を振り回しているような印象を受けます。
私は車両工作が好きなら別にレイアウトにこだわることなく、工作して楽しめばいいと思っています。レイアウト工作が好きならレイアウトを作ればいいと思います
だから本質的に異なるこの二つの楽しみ方を比較して「金属工作は模型の王道」などと主張することは、レイアウト・コンプレックスの裏返しであるし、「レイアウト工作は車両工作よりバリエーションがあり難易度が高く、格も高い」というレイアウト至上主義を振りかざす方と同次元であると思われます。これは他の立場を認めない低レベルな考え方であり、あまり品格・教養のないことだと思うのです。
「40歳代で台枠が組めないと一生レイアウトは完成しない」という格言?もあるそうですが、そういった呪縛に取り憑かれることなく、他の方の模型を楽しませていただきながら、私はマイペースで模型を楽しみたいと思います。
ただ私も車両工作が主体ですが、やはり既成の線路の上に載せるだけでは寂しいですからとりあえず撮影の場として、小さなジオラマに着手することにしました。これが完成したら次はかつて なかお・ゆたか氏が創られたようなセクションレイアウトを作ってみたいと思っています。
かつて金沢の荒崎氏が雲竜寺鉄道祖山線の記事で書かれた「ブレーキシューのついて機関車には、パイピングのついた客車を連結すべきである、またそういう列車はザクザク音がするようなバラストの撒かれた線路の上を走らせるべきである・・・」という帰納法のたとえ一部でも私の鉄道で実現したいと思っています。