Tips & Bugs(雑記帳)

コアレスモーターあれこれ


3.コアレスモーター雑感 (97/8/15)


 最近走りにこだわる人達の間ではコアレスモーターを模型につけることが多いようです。また数年前なら価格も一個1万円近くしたのが、最近では5千円程度にまで下がってきているのも普及してきたひとつの理由のようです。

 特に小型車両愛好者にとっては、低回転高トルクの特性のモノが入手できるようになったのはなによりです。メーカーとしては、ドイツのファウェルハーベルが有名ですが、スイスのマクソンやミニモーター社製のものなどが入手できるようです。国産では並木製があるようです。キャノンは小型になると定格電圧が低いものしかないようです。(エンドウから12V仕様14mm径のものが分売されていますが、少し中小型機には長くて使いにくいようです)

 コアレスの長所といえば、なんといっても低消費電力ということだと思います。これで集電車輪の汚れが最低限におさえられるし、集電ブラシで集電するときも ブラシ圧力を弱くできるし 目立たない小さな細いブラシで済むことになります。

 その反面低消費電力であるがために、従来方式の動力車用定電圧点灯(1.5V球とダイオードブリッジを並列につないだものをモーターと直列につなぐ)ができないという欠点にもなってきます。また低圧で動き出すので、モーターとは無関係に定電圧回路を装備している場合では、動き出してからでないと点灯しないといった現象もおきるようです。

 またコアレスモーターの売りのひとつが、低慣性モーメントということなのですが、これは制御用モーターとしては優れた性質ですが、模型では瞬時の集電不良でも回転に変化が出てくるということで欠点になってしまうようです。そのためかムサシノモデルのコアレスを積んだ製品はことごとくフライホイールを装備しているようです。森井氏にご教示いただいたところでは、従来の有鉄芯モータでは、鉄芯自体が慣性をもっているので一種のフライホイールの役目を果たす反面、磁石に吸引されてトルクむら(コギング)が発生するため、低回転時のスムーズさの点ではコアレスの方が優れているということです。なお森井氏は既にご自分の作品にコアレスを多数搭載しておられますが、同氏の作品では回転むらなどについては全く問題が生じていないということです。

 またコアレスモーターで困るのは従来の模型用カンモーターと取り付け法が異なることです。一部のモーターでは、模型用カンモーターと同様に端面にネジを切った穴が開いていますが、多くの製品は軸受けのまわりに5.5mmのネジが切ってあるか まったく取り付け穴が開いていないかのどちらかです。前者の場合は自分で真鍮板からアダプターを自作することになります。なお5.5mmのタップは一般の工具店やDIY店ではあまり扱っていませんが、東京のエコ−モデルで扱っています。後者の場合は自分でカップ状のものをかぶせてネジ止めするか、ネジを切った円板を接着するかということになると思います。ネジを切った円板をモーターの端面に接着したときは強度の問題が生じるかと思いますが、エポキシ系接着剤の中でも特に強力なもの(アラルダイト等)を使えば大丈夫のようです。私のエコ−のバラキットを組んだ汽車会社型Cタンクには、ネジ止め用の板を接着してコアレスを取り付けました。


 コアレスモーターは、一部の鉄道模型専門店で販売されているが比較的品薄である。マクソンのコアレスモーターは日本代理店のマクソンジャパン (tel.03-3350-4261 fax 03-3350-4230) から一個単位でも購入できる。


 これらの問題に関しては大阪の森井義博氏と仙台の今野喜朗氏からいろいろ教えていただきました。特に森井氏の掲示板でのQ&Aが大変参考になりました。ありがとうございました。

15.コアレスモーターのウォームギア取付法 (98/1/24)


コアレスモーターの軸に直接ウォームギアを取り付けても良いのか?ということは、大きな問題であったと思います。「コアレスの軸に直接ウォームギアを取り付けるべきではない」という根拠には二説あって、ひとつは、コアレスは、ローターが最適の位置にあってこそ優れた性能を発揮できるので、ウォームによるスラストがかかってローターの位置がずれると性能が落ちるので、コアレスの性能を発揮できない」というものです。もうひとつは、コアレスは、本来平ギアのギアーヘッドをつけて使うものなので設計段階で、軸方向のスラストには耐久性がないような仕様になっているというものです。しかし例え本来の高性能が発揮できなくても、同じ大きさの普通の鉄道模型用モーターに比べるとトルクはあるし、モーターが壊れるほど走らせたという話も聞かないので、真実は闇の中でした。

今回モーターに詳しい大阪の森井さんが、ご自分のホームページの中で計算で明快に答えをだしておられます。それによると現在模型に使える大きさのコアレスでウォームを付けたときに軸にスラスト方向にかかる荷重に耐えられる仕様となっているのはマクソンの一部のコアレスモーターだけのようです。私の作品でも汽車会社Cタンクと1850はこのモーターを搭載していますが、ユンクCタンクはスイス・ミニモーター社製のモーターの軸に直接ウォームギアを取り付けています。果たしてどの程度耐久性があるのか試してみようと思います。ちょうどムサシノのクラウスが同じモーターを搭載しており、こちらはギアボックスとの間にジョイントが入っているのでこの二台で耐久性を比べてみたいと思っています。


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