Tips & Bugs(雑記帳)
4. 今なぜフリーランスをつくりたいのか (97/8/16)
15年近く前の大学生時代には、出来るだけ実物に忠実に模型化しようと思って、機関車の組立図や写真を舐めるように?見て模型をつくっていました。そしてやはり模型を作るのならスケールモデルじゃなければと思っていました。フリーランスというと鉄道模型入門用の簡略モデルやお気楽にパーツの寄せ集めで作られた作品しか頭に思い浮かばなかったのかもしれません。
ただ今はスケールモデルではなくフリーランス(自由形)のモデルを作りたいのです。
私の興味の対象である「古典機(明治から大正の蒸気機関車)」は少量多品種で一形式が数両しかないものは珍しくありません。したがって○○型のモデルといっても、国鉄制式機の特定番号機モデルとほぼ同義になってしまいます。また形式が分かれていても実質は、当時の鉄道作業局や各鉄道会社がある一定の仕様を示し、それに対して欧米のメーカーが応札した、あるいは日本の代理店が適当に見繕って納入した結果にしか過ぎないと思うようになりました。先日亡くなった有名な歴史作家は、「歴史は90%の偶然と10%の必然からつくられる」と書いておられましたが、古典機についてもまさしくそれは当てはまると思われます。その機関車が日本を走っていたのも、単なる歴史の巡り合わせかもしれません。機関車史研究で有名な故金田茂裕氏はその著書の中で、当時の各メーカーに示された仕様についても解説されています。それを見ているともしこの仕様で、あのメーカーが受注していたらこんなロコが出来上がってきただろうというイメージが沸いてきます。そしてどんなにお気に入りのプロトタイプでも、細部をみると必ずしも100%自分の好みどおりというわけではありません。
また最近では、鉄道模型の世界でも少量多品種生産で、一昔前なら到底発売されることのなかったプロトタイプが次々と発売されています。完成品では出ないような車両を自作して自分だけ持っているというのは工作派のひとつの誇り(傲慢さでもありますが・・)であったわけですが、そういう状況もかわりつつあります。金に糸目をつけなければどんな模型でも手に入れるようなことができる時代になってきたように思います。このことは古典機モデルの世界にもおこってきています。
となれば自分だけしか持っていないモデルを持とうと思えば、究極的にはフリーランスということになりますね!!
というようなわけで今後は、自分で気に入ったスタイルのどこかに実物が存在したような「リアリズムをもった自由形」をつくっていきたいと思っています。
過去のTMS誌には素晴らしいフリーランスモデルがいろいろ発表されています。特に私は今野喜朗さんの緑のコロンビア(山陽鉄道5060タイプ)が好きなのです。気に入った他人のフリーランスを真似してつくるというのもいいなと最近では思っています。