ボールドウィン1B1タンク(流山タイプ)


↓組み立て途中写真


 ボールドウィン1B1タンク(流山鉄道)はもう20年近く前プレスアイゼンバーンから発売されたキットです。プロトタイプがマイナーであったこともあって12ミリゲージ普及の起爆剤にはならなかったようです。私も発売当時一両入手していましたが、お蔵入りになっておりました。数年前某模型店の倉庫の隅からもう一セット発掘できたのを機会にもういちどいじくってみることにしました。
 他の方が組まれたロコを見せていただくと、そのまま組んだのでは走行がシルキーランにはほど遠いようです。こういう小型機関車ではスムースな走行には集電が一番大事なことはみなさんご存じのとおりですが、動輪固定式のBタンクで先従輪は両絶で集電していないというキットの構造ではスムースな走行は望めないと考えました。そこでフレームとギアボックスがダイカストの一体鋳造となっているキットの構造からして動輪可動式に改造するのは困難なので、従輪から両側集電するように改造し、先輪も両絶車輪を片絶に改造して集電性能の向上を図りました。といっても従輪は燐青銅線で簡単なブラシを作り、先輪は絶縁リングの部分に真鍮線を埋め込んで絶縁破壊!しただけです。また集電ブラシはキットのものを使っていますが、そのままでは弾力が強すぎてうまく車輪に追従せずモーターのトルクを浪費しているようです。そこで森井義博さんのアイデアで集電ブラシの真ん中に糸鋸で切り込みをいれて二本ヒゲにしたところ良好な結果が得られました。なお従輪は燐青銅線で真ん中を押さえてレールに圧着させています。
 またキットに入っているキドマイティーは経年変化で磁力低下をおこしているようなので、マシマのモーターに交換しました。マシマモーターは両軸モーターを軸の片側から旋盤の主軸で押して強引に片軸&長軸化しましたが、その時にモーター内部にガタが生じてしまったようで、ウェームのスラストがかかると振動が出てしまうので、ウォームとモーターの間にパイプを入れてガタを殺しました。
 あとこのキットはプロトタイプの宿命とはいえ後方がオーバーウェイトになってバランスが悪いようです。前方に補重するといっても小さな煙室やボイラーの隙間にウェイトいれたところでしれています。そこで、とれいん122号(86/2)の黒岩さんのイラストで煙室を前方に延長したロコが描かれていたのが気に入ったので、元のキットの煙室は切り落として煙室を自作しました。これは10X8ミリの肉厚真鍮パイプで作り中に8ミリ径の真鍮丸棒を入れた構造にして重さのバランスを改善しました。またシルエットより走行性能重視でフレームの上下にも鉛板を貼りつけました。先輪もキットでは圧着バネを使用する構造ですが、せっかく苦労して稼いだ前方のウェイトを先輪の軸重としてに持っていかれるのは悔しいので、先台車に鉛板の小片を貼りつけるようにしましたが、脱線せず良好に走ってくれます。
 こういった改造をしたおかげで、原製品よりはかなり走行性能は向上したようです。あとカプラー高さですが、私の鉄道の北海道部門では、基本的にアメリカのHOn3製品の流用が多くなるので、日本型HOJのスタンダードとは異なりますが、HOn3の規格にあわせることにしました。後方のカプラーはHOJのスタンダードにも交換可能です。実物の北海道の鉄道も開業当初はゲージこそサブロクであるもののカプラーの規格は米国本国のナローゲージの規格だったようなので、後年本州規格?の自連に交換したときには、カプラー高さを合わせるために構造上、一部の客車では枕梁での嵩上げなどを余儀なくされたようです。なお塗装はタミヤのスプレー缶で、機関車本体が日本海軍の深緑、屋根はダルレッドです。
 最後になりましたがこのキットを組んで感じたのは、やはり金属とプラの複合素材によるキットとなると作業手順とか接着剤の選択に工夫が必要でかなり頭を使う必要があり、真鍮バラキットをくみ上げる方がかなり楽だという印象を受けました。特にシリンダーまわりとか金属とプラの接合部分でエポキシでつけたところが数年するとちょっとした衝撃で剥がれてくるのにはまいりました。この手のキットでもせてめて強度の必要な部分の下回りは金属にするかプラの一体成形といった構造にするべきではないかと思います。