Tips & Bugs(雑記帳)

32.お金と時間の使い方 (2002/1/1)


「とれいん」誌2002年1月号、ウェストサイドランバーのレイアウトで有名な須々木裕太さんが、次のように述べておられます。

たとえば素晴らしいディテールの樹木があって、その技法も紹介されていて、完成品も売られている。「レイアウト・ビルダーたるものは、完成品を使ってはならない」てな思想があって、意地でもこの木を自作しようとするんだけれど、時間もかかるし、うまくもできない。それで挫折する。要するにそんなものは買えばいいんですよ。自分の作りたい目的に必要なもので、お金で買えるものがあれば買った方がいい。自分の時間はそれ以外の、お金で買えないところに集中するんです。(レイアウト・ビルダーズ座談会 とれいん2002年1月号 P.13より引用)

須々木さんは、レイアウトの話をされているわけですが、これはそのまま車両製作にも当てはまるのではないかと思います。「真のスクラッチビルダーたる者、市販パーツを使ってはならない」という思想もあるようです。実際自分自身学生時代は、故楠田敏雄さんの車輪、ギア、モーター以外はパーツを使わない狭義のフルスクラッチビルドの作品などを拝見して、真剣にそう考えていた時代もありました。学生時代はお金はないけど、時間はたっぷりあったので、なおさらそういう考えていたのかもしれません。ただ実際社会に出てみるとお金が潤沢というわけでもないですが、時間の方がもっとないので、そういう思想に固執していると模型なんか出来ないということになってしまいます。

平野和幸さんの時代やJALCOのみなさん方の初期のころには、パーツもないし自作せざるを得なかった訳ですが、今はエコ−モデルの中小型蒸機用パーツもありますし、「自分の作りたい目的に必要なもので、お金で買えるものがあれば買った方がいい。自分の時間はそれ以外の、お金で買えないところに集中するんです。」という須々木さんの言葉は、そのまま車両製作にも当てはまると思います。

自分のそのひとつの回答が、2001年6,7月号に掲載させていただいた「日立タイプCタンク」の製作記事です。この記事では、出来るだけエコーモデルの中小型蒸機パーツを使って、機関車を作ることに挑戦してみました。この記事を読んでいただいた方で何名か実際に製作されたというご報告をいただき大変うれしく思っております。

近作の7850も市販パーツをかなり使っておりますし、これから自分の作品ははフルスクラッチビルドより、パーツをうまく使ったセミ・スクラッチビルドになりそうです。


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