プロトタイプ
 汽車会社製と日本車輌製のロコは、エコーモデルから製品が発売されているので、日立製Cタンクをプロトタイプに選びました。これは千葉県営(成田)鉄道を振り出しに最後には別府鉄道の5号機となったロコです。なおかつて刊行されたTMS特集シリーズの「日本型蒸気機関車の製作(1963年/機芸出版社)」には、岩手謙之助氏が別府鉄道の5号機をプロトタイプとした自由形Cタンクの記事を書かれています。岩手氏の言葉を借りれば「あまり古すぎも新しすぎもせぬ点は、新旧さまざまな車両の走る私たちの鉄道には丁度手頃です」ということですが、まさにそのとおりだと思います。私は機関車の系譜図3(1976年/交友社)に載っている原型の形式図を参考にモデルを設計しました。
鉄道模型趣味2001年6月号・通巻683号 より転載 機芸出版社了承済
また最後に別府鉄道の5号機となった姿も、ある人にいわせると「相撲がとれるほど広いデッキを持っている」など、面白いスタイルですので、このタイプを作ってみるのも面白いかもしれません。なお別府鉄道では台枠を前に延長し、キャブの形なども変わっています。また実物は最後までエアブレーキ化されなかったようですが、モデルの世界ではコンプレッサーやエアタンクを背負わせてエアブレーキ化してみるのもいいでしょう。またフリーランスとして1C1のタンクにしてもなかなかバランスがよいと思います。模型化のための実物参考資料としては湯口徹氏の「丹波の煙、伊賀の径(下)(2000年/プレスアイゼンバーン「レイル」40号)」にこのロコの写真が多く収録されているので、参考になります。(実はこの本が出版されて、私の作品のランプ掛けの位置が誤っているのが判明しました。図面ではそのあたり寸法を修正した物を掲載していますのでご留意ください)なお実物のサイドタンクなどにはリベットがありますが、今回は岩手氏のロコ同様に省略しました。

必要な工具
 一般の真鍮工作に必要な以下の工具を用意してください。糸ノコ、ヤスリ、ハンダゴテ、ピンバイス、ボール盤、ノギス、タップ(1.4ミリおよび2ミリネジ用)、各種径ドリルなど。ハンドドリルで蒸機が作れないことはありませんが、簡易型でもよいから卓上型ボール盤は欲しいと思います。またノギスは正確な測定・加工のために是非揃えたい工具です。蒸機以外のものを作るときでも、常にノギスで測定する習慣をつけておけば、歪みの少ない正確な工作が出来るようになると思います。

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