Tips & Bugs(雑記帳)

2.小型車両の集電について(とれいん7月号の話題から)(97/8/15)


とれいん7月号 マスターモデラーを訪ねての記事で野村徳一郎氏が、

モーターの次に集電ブラシが重要である。集電ブラシの圧力が微妙であり、ブラシを車輪に強く当てすぎると、ブレーキが強くかかってしまってモーターが低電圧のうちにまわれないので、電圧が上がって、やっと集電ブラシの圧力にかてるようになったところで急にまわりだすからラビットスタートになってしまう。ブラシによる負荷が大きいと電流も喰うので車輪も汚れやすくむしろ集電不良になりやすい。集電ブラシにはやわらかく当たる太さの燐銅線が良い。

という発言をされています。(引用元は脚注、私が内容を要約)

 まさにそのとおりだと思います。従来のモーターを搭載した模型では、結構消費電力が大きいため、安定した走行のためにモーターに十分な電力を供給しようとすると接触面積が広くて圧力の強い集電ブラシが必要とします。十分なトルクを持ったモーターを搭載できる大型機の場合は問題なくても、起動トルクの十分でないモーターしか搭載できない小型機の場合は、集電ブラシがブレーキをかけてラビットスタートになるという結果を招いてしまいます。

 ムサシノのクラウス(10型蒸機)を分解してみたとき、その集電ブラシの繊細さには驚きました。薄い燐青銅板のブラシが車輪の裏側にそっと当たっているだけなのです。ただそれでも十分な走行性能を得ることが出来るのです。

 コアレスモーターは、超低消費電力であるため強くて大きな集電ブラシを必要としません。またコアレスモーターは大きさの割にはトルクが強いため、スムースな起動を得ることができるのです。集電ブラシを必要とするような小型機にコアレスモーターを搭載することには大型機に搭載するのとはまた違った意味がありそうです。

コアレスモーターの話題は、Tips & Bugs3をごらんください。


参考文献・引用元

マスターモデラーを尋ねて野村徳一郎氏 とれいん 271:74-77, 1997


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